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「震災に対する税務」の取り扱い


 被災者の皆様には、心からお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 被災者の方々に対する様々な税制上の支援措置が講じられてきています。
 従来から、災害により被害を受けた場合の税務上の救済措置は設けられてはいますが、今回の東日本大震災の被害の甚大さに配慮して、国税では、急遽、次のような税制の特例が設けられました。

 災害に関して法人や事業を営む個人が支出する費用などの現行の主な税務上の取扱いについては、次のとおりとなっていますので、ご参考にしてください(具体的な事案に対しては、お近くの税務署、税理士事務所などにご相談下さい。また、取扱いの詳細はそれぞれの法令、通達をご覧ください)。
 疑問点などがありましたら、メールなどで大野までご連絡下さい。

 なお、説明は分かりやすくするために所得税、住民税、法人税に限定しています。


「震災に対する税務」の取り扱い

Ⅰ.支援者の税務
  個人が支出した場合  法人が支出した場合 
国税

 (1)
義援金等 
 ・所得控除
 個人の方が義援金等を寄附した場合には、その義援金が「特定寄附金」に該当するものであれば寄附金控除の対象となります。
 控除額は、寄付金の全額(ただし、上限は寄付者の年間総所得金額等の40%)から2千円を差し引いた額が、寄付者の年間総所得金額等から控除されます。 
 ・法人の全額損金算入
 法人が義援金等を寄附した場合には、その義援金等が「国又は地方公共団体に対する寄附金」、「指定寄附金」に該当するものであれば、支出額の全額が損金の額に算入されます。
 (2)
取引先取引先に対する災害見舞金等
   法人が、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために要した費用は、交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。
 (3)
取引先に対する売掛金等の免除等
   法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。
 また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合及び災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様に取り扱われます。  
 (4) 
取引先に対する低利又は無利息による融資
   法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、寄附金に該当しないものとされます。  
  (5)
自社製品等の被災者に対する提供
   法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金の額に算入されます。 
 地方税
(1)
個人住民税
 寄付金の全額(ただし、上限は寄付者の年間総所得金額等の30%)から5千円を差し引いた額の10%が、寄付者の住民税額から控除されます。   

※3「特定寄附金」とは、次に掲げるものなどに当てはまるものをいいます。
(1) 国や地方公共団体に対する寄付金
(2) 指定寄付金(学校法人、社会福祉法人などの特定団体への寄付金で、財務大臣が指定したもの)
 (3) 特定公益増進法人への寄付金(日本赤十字社や(財)日本ユニセフ協会など)
 http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/tokutei_koueki/index.htm
(4) 認定NPO法人への寄付金(認定NPO法人に限る)  

  認定PO法人名簿


Ⅱ.被災者の税務
  個人   法人
 国税のみ
(1)
災害により滅失・損壊した資産等
 事業を営む個人の有する事業用資産についても、右の法人と同様の取り扱いとなります。   法人の有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます
 2)
復旧のために支出する費用
 これらの取扱いは、事業を営む個人においても同様となります。    法人が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」といいます。)について支出する次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次のとおりとなります。
①被災資産についてその原状を回復するための費用は、修繕費となります。
②被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
③被災資産について支出する費用(又はに該当するものを除きます。)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。
 
 (3)
従業員等に支給する災害見舞金品
 これらの取扱いは、事業を営む個人においても同様となります。  法人が、災害により被害を受けた従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金の額に算入されます。
 また、法人が、自己の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても、同様に損金の額に算入されます。 
 (4)
災害による損失金の繰越し
   法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には、その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、その災害損失欠損金額に相当する金額は、その各事業年度において損金の額に算入されます。 
 (5)
個人が支払を受ける災害見舞金
 個人が支払を受ける災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています。    
  (6)
低利又は無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益
 災害により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人が、使用者からその資金に充てるために低利又は無利息で貸付けを受けた場合に、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は、課税しなくて差し支えないこととされています。   
 (7)
被災事業用資産の損失の繰越し
 事業を営む個人のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(被災事業用資産の損失の金額)がある場合には、その損失の生じた年分が青色申告書を提出しなかった年分であっても、その被災事業用資産の損失の金額に相当する金額は、その年分の総所得金額等の計算上控除することとされています。   

 以上、詳しくは下記のホームページをご覧下さい
 財務省ホームページ
 http://www.mof.go.jp/
 国税庁ホームページ
 http://www.nta.go.jp/ へのリンク

ご参考-政府は大震災時の税制特例措置の検討に入
     ったようです。
【震災復興支援へ税減免・政府検討、過去の法人税還付】
 政府は東日本大震災の被災地の復旧や復興を急ぐため、緊急の税制減免策を導入する検討に入った。
 損失を補填するために2010年度以前に納めた法人税を還付するほか、工場や住居の復旧が困難な企業や個人の固定資産税を11年度分以降は非課税とするのが柱。
 前年度の所得が少ない企業には前の年度の納税分からの還付を認めることも検討する。

大震災時の税制特例措置とは、
 現行制度でも自然災害のための税制支援措置が設けられているが、大震災時にはさらに特別な措置を設けて後押しする特例措置のことで、1995年の阪神大震災の際には「阪神・淡路大震災の被災者等にかかる国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災税特法)」が制定され、被災者や被災企業の所得税や法人税、相続・贈与税など様々な税負担を軽減する支援措置が導入された。
 阪神大震災時には損失に応じた法人税の還付や地価税の免除、固定資産税の軽減が柱となった。被害が広域にわたる東日本大震災の復旧・復興では、阪神大震災を上回る税の減免措置が避けられそうにない
    (2011/03/21,日本経済新聞より) 



 さまざまな団体や企業が受け付けている義援金も相当な額にのぼっています。
 企業人、プロスポーツ選手、芸能人、一般人など・・・・善意の輪がひろがっています。

 毎日の新聞、ニュースなどを見て、あまりにも災害の規模が大きすぎて、日本人すべてが何かの手助け、支援をしなければ東北、日本は回復しないと実感しているのではないでしょうか・・・・。
 
 皆さん今こそ、人のために生き金を使いましょう。
 もちろん、政府、国会議員も率先して身を切る覚悟でやりましょう。

 また、今以上に幅広く善意を寄せてもらうためには税制面の工夫ももっと必要です。
 今年の税制改正では、国が認定したNPO法人に対する寄付の最大50%を所得税額から差し引く「税額控除」が予定されています。もっともっと寄付がしやすくなるよう、税額控除割合の引き上げだけでなく寄付金、義援金等を含めた抜本的な改正を思い切りやってほしいですよね。

 それにしても、心配なのは予算関連法案、税制改正法案の国会での審議状況です。
 街頭で募金箱を持ったパフォーマンスだけはやめて下さいネ。

 国会議員の仕事は、法律を作ることです。知恵を出して「被災者」に議員の「誠」を尽くしましょう。


     頑張れ東北、頑張れ日本 




 追伸、(実は、私はよく知らなかったのですが・・・・・恥ずかしい。)

「義援金(義捐金)」と「支援金」の相違について説明しておきます。
 
義捐金とは、
 「義捐」(ぎえん)は明治時代につくられた和製漢語である。「義」は、正しい行い、もしくは公共のために力を尽くすことを意味し、「捐」は、すてる、すてさるの意である。すなわち「義捐金」は、正しい行いのため、公共のためにすてる金を意味する。(ウィキペディアより)

 「義援金」は、通常は日本赤十字社にすべて集められ被災者に分配する。「公平・平等」に分配するため阪神淡路大震災において最終的に配分されたのは震災から6か月以上後のことだ。
 これに対して「支援金」は、この大震災において活動しているボランティア団体・NPO、あるいはそうした団体が必要だと考える人びとに支給される。また、この現金はガソリンや食料品、おむつなどに変えて、必要な人に配られる。即効性を考えるなら、この支援金の方が友好な手段だ。だが、「支援金」には公平性・平等性は担保されない。(以上、『「義援金」と「支援金」-田中尚輝のブログ』より)
 
 募金をすぐに役立ててほしい方はNPOなどへの「支援金」がおすすめで、 即効性がある。
 時間がかかっても、「公平・平等」に分配してほしい方は、「義援金」がおすすめです。

 興味のある方は、『「義援金」と「支援金」-田中尚輝のブログ』よりをご覧下さい
 

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