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中小融資の保証縮小、全額から原則8割に!

 政府は信用保証制度のあり方を議論する見通しです。信用保証協会の財政が悪化しており、国による補填額も膨らんでいるためで、景気も持ち直しており、民間金融機関の体力も高まっていると判断しています。
 2008年のリーマン・ショック時には、信用保証協会が焦げついた融資を全額肩代わりする特例措置を採用したが、中小企業庁は今年3月に大幅に縮小しました。製造業や小売業など全額保証の対象は、ピーク時に1000業種を超えていたものの、現在は200業種まで減っています。
 全額保証がついた融資の残高は13年12月末時点で18兆円あり、また、信用保証全体の融資残高は約30兆円です。ただ信用保証協会が肩代わりした額は徴収した保証料を上回る状態が続き、12年度は3500億円の収支赤字で、赤字分は国が財政支援している。つまり、税金が投入されているということです。
 5月19日の経済財政諮問会議では、麻生太郎財務相兼金融担当相が「民間金融機関の目利き・経営支援を促すため信用保証を見直す」と明記した資料を出席委員に配った。
 信用保証の見直しの柱は、全額保証の縮小で、対象業種をさらに縮小する案で、リーマン危機前と同じ100業種以下に絞ることを検討します。
 また、保証率は通常制度では8割だが、信用保証の収支悪化が深刻なため、これを引き下げる案もあります。
 与野党内では中小企業の経営に影響が大きいとして慎重な意見もあり、今後の議論が注目されます。
 財務省や中小企業庁などで調整し、6月にまとめる政府の成長戦略に盛り込む方向で、具体策は秋以降に詰め、15年から段階的に縮小したい考えです。

 足元では金融機関の収益は改善しており、大手銀行5行の14年3月期決算で純利益(連結)は3兆円に迫る勢いです。過去に積んだ貸倒引当金が不要になって、戻り益として増益要因になったほどで、政府内には公的保証に過度に依存するとモラルハザードを起こしかねないとの指摘があります。
 ただ地域金融機関は信用保証頼みが続きます。地方銀行と第二地方銀行の信用保証付き融資の残高は15兆円を超え、中小向け融資全体の17%を占める。信用金庫の依存度はさらに高く、保証付き融資の残高は9兆円超と全体の22%。個別でみると、都内大手信金が貸出金の約40%を保証付き融資に頼る例もあります。
 地銀・第二地銀の年間利益は13年3月期までの5年間平均で4500億円。信用保証協会が肩代わりした額は13年4~12月で2300億円強に上り、制度の下支え効果は大きい。ただ、過度な保証頼みは「金融機関としての目利き能力の低下につながる」(金融庁)との指摘があります。
※.参考資料(2014/06/02,5/20日経新聞ほか)

※1.信用保証制度
 中小企業者が金融機関から事業資金を借入れる際、信用保証協会が公的な保証人になることにより資金調達を容易にする制度です。
信用保証制度については、下図がわかりやすいでしょう。
 www.fukushima-cgc.or.jp/100_toha/120_sikumi.htm
※2. 信用保証 
 中小企業が支払った保証料を原資として保険を設定し、倒産など貸し倒れが発生した時に全国各地の信用保証協会が金融機関の損失を肩代わりする。保険でまかないきれない部分を国が財政支援します。
※3.信用保証協会
 信用保証協会法に基づく公益法人で、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することで、融資を受けやすくなるようサポートする機関です。



 
 我が国の信用保証制度は、経済の不安定化の中で中小企業の資金繰りを支え、倒産の防止に役立ったといえますが、一方で、全額保証や最近の多大な保証実績に見られるような、制度への過度な依存により、モラルハザードの発生や財政悪化、貸出市場の歪みなどの負の影響が大きくなりつつあります。

 
ここで、「信用保証制度の利用状況について」をご覧下さい。

  ・景気対応緊急保証の代位弁済額(平成20年11月~平成25年12月)
  ・信用保証実績の推移((社)全国信用保証協会連合会)
  ・金融機関別の保証債務残高(平成25年12月末まで)
  ・金融機関別の代位弁済の状況 平成26年1月31日
  ・信用保証協会別の代位弁済の状況 平成25年5月24日

  http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/hosho/index.htm?utm_medium=twitter&utm_source=twitterfeed

 上記の資料を見ると、平成21年度に約36兆円あった保証債務残高は、平成25年度には約30兆円に減少していますが、代位弁済額(平成24年4月~平成25年3月)は、約7,800億円保証債務残高に対する代位弁済率は2.4%(全額保証分は2.7%)です。

 また、保証協会だけでなく、日本政策金融公庫も併せて見なくては、信用保証の全体(問題)は分かりません。

 ホーム > 日本政策金融公庫について(会社案内) > 業務の概要 > 中小企業事業 > 業務の概要・特徴 > 信用保険業務(概要)で、出資金の推移をご覧ください。一番下の方です。

  https://www.jfc.go.jp/n/company/sme/insurance_outline.html

 この出資金が、税金(国=出資者)から補填されているのです。
 20年度~25年度の合計で見れば、約4兆8,000億円強の補填額(税金)が、国家予算から日本公庫に使われています。一番多い21年度で見れば、税収約46兆円のうち実に4.5%以上を占めてます。

 保証料、保険料で不足する部分を国が財政支援し、過去10年で6兆円超を支出しています。
 
 このあたりの、経過をを詳しく書いている、下記資料を、一度ご覧下さい。
 「信用保証制度をめぐる現状と課題 - 国立国会図書館デジタルコレクション」
  dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8226442_po_0794.pdf?contentNo=1

 
 また、財政投融資分科会の議事録によれば、
〔富田分科会長〕の質問に、〔中小企業庁事業環境部三浦金融課長〕が答弁されたものを、援用すれば
信用保証の国民負担なのですが、事故率2%というふうに三浦課長はお答えになられたのですけれども、私の記憶では、中小企業対策はいつも補正予算で打たれまして、98年からの累計で10兆円くらいで、そのうち8兆は信用保険、信用保証にかかわるもので、事故率というか、貸倒率が10%で、当初は回収率50%を見ていたけれども、とてもそこまで回収できずに、8兆円ものすごい国民負担を生んでいるのです。だから事故率2%ということはないだろう

〔中小企業庁事業環境部三浦金融課長〕すみません、ちょっと説明が足りませんでした。要するに、1億円保証したときに、保証期間は平均5年くらいですけれども、この5年間、経過した時点で、例えば100社保証したら何社倒れているというのが累積事故率でございます。この事故率で言うとおっしゃるとおりで、例えば、平成10年に実施した特別保証については、累積事故率で見ると10%、要するに、100社保証して、最終的に10社倒れているという状況です。回収率は、おっしゃるとおり50%で見込んでおりましたが、実際に回収できているのが、おそらく10%強だったと思います。そういう状況でございます
(財政投融資分科会(平成25年10月23日開催)議事録から引用)


 「信用保証」については、中小企業の資金繰りを支え、倒産防止に役立った部分もありますが、制度への過度の依存により、モラルハザード、財政悪化、貸出市場の歪みなどのマイナス面が大きくなりつつあります。諸外国でもこの施策が採用されていますので、我が国の持続可能な「中小企業信用補完制度」構築のために、諸外国の経験に学ぶ必要があるのではないでしょうか。






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